オオカミ少年化の弊害

SE常駐の負連鎖

システム開発会社側の立場からすると、時間ばかり取るよくないクライアントはできるだけ減らさないと、他の優良クライアントに迷惑がかかる。特に横にいてくれないと進めることができないというニーズが、SE常駐の常態化してしまっている要因である。

常駐要請の心理

SEへの安心感の欠如が常駐しないといけない理由のひとつである。隣にいれば、何かあった時にすぐに指示が出せる。たとえば、サーバが止まったときにすぐに復旧させることが可能である。

対症療法の克服

隣にSEを常駐させて対応できてしまうがゆえに対処療法になってしまいがちである。本来であれば、サーバが止まらないようにすべきであり、リカバリのプランがしっかりと計画されていることが理想である。

脱属人化の施策

SE側も、すぐに復旧させられるからといった怠慢により、事前に問題や対策を考えておくといった準備を怠ってしまう。そう考えると、発注側のITリテラシーも非常に重要である。属人化しないように仕組化するにはどうするかを常に整理する意識を持つことが大切である。

まとめ

発注側は感情だけでプロジェクトを遂行すると、何かあった時に何でもSEを急かしてしまう。これによって、発注側はオオカミ少年化してしまうため、本当に急がないといけないときに対応が遅れてしまうのである。

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熱意の共有

提案と負担

「なぜ、自社のシステム担当者や社外から常駐するSEは、システムの改善提案をしてくれないのだろう?」と思うことはないか。それは、提案することで自分が大変になってしまうことを理解しているからである。

現状維持の理

自分たちが大変になるだけであるため、普通に考えれば、それを「やろう」と思うはずがない。それがシステム担当者から提案が出てこない理由であろう。

知と意欲

そうなると、非エンジニアやシステム営業が発想する提案は、システムの要件や縛りを無視した案になってしまう。問題解決意欲の高い非エンジニアが指揮するシステム開発を成功させるには、同じ温度感を持つエンジニアを味方につけるほかない。

人材の見極め

システム担当として向いている人材を探すことは非常に困難である。仮に全社的な問題解決意欲の高いエンジニアを採用したとしても、本当のスキルがどの程度であるか知ることができない。システムの開発のほとんどは巻き戻すことができないからである。

まとめ

システム開発や運用の大変さを知る人材ほど、モチベーションがない限り全力を出し切らせるには、相当の熱量を伝えることが肝要である。

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業務データ資産の発見と活用

AI活用の第一歩

AI活用による生産性向上のためのシステムツール構築では、過去データの利用が必要不可欠である。しかし、過去データが整備されていない場合の対処法を考えてみたい。多くの企業がAI導入を検討する際、まず直面するのがこのデータ品質の問題である。完璧なデータセットを求めがちだが、実際には現実的なアプローチで進めることが成功への鍵となる。

目的の明確化

まず「何に使いたいデータなのか」を明確にする必要がある。目的に応じて、必要なデータの「粒度・項目・量」が変わるため、いつも扱っている部門ではない人が客観的に整理するのがよいかもしれない。例えば、生産管理の異常検知であればセンサーデータの時系列とアラート履歴が必要になり、顧客離反の予測であれば購買履歴と問い合わせ履歴が必要になる。このように具体的な用途を定めることで、収集すべきデータの方向性が見えてくる。

データの現状把握

やりたいことを整理すれば、次に足りないデータなどが見えてくるはずである。このとき、データが重複していたり、欠損していたり、バラバラであったりというのも、すべてデータはあるものと考える。形式としては、Excel、CSV、紙、システム内に点在などを把握して、データの棚卸を行う。完璧でないデータでも、適切な処理を施すことで価値ある情報源に変わる。重要なのは、現在持っているデータ資産の全体像を正確に把握することである。

データ整備の実践

データの棚卸が終われば、データクレンジング(整備)の作業方針を立てる。手動で整えるのか、何らかのツールを使うのか検討が必要である。また、このツールはExtract(抽出)、Transform(変換)、Load(読み込み)の頭文字をとってETLツールと呼ばれている。Power Queryなどがその代表例である。作業量と精度のバランスを考慮し、コストパフォーマンスの高い整備方法を選択することが重要になる。自動化できる部分は積極的にツールを活用すべきである。

まとめ

データを整えていく途中で足りないデータが発見されることもあるだろう。しかし、ここからがAIの使い様である。ファインチューニング(学習させていく)ことや、生成AIやRAG(Retrieval-Augmented Generation)を利用して補完するなどが考えられる。

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Excel業務のDX化は本当に必要か

DX化の現状

多くの企業でExcel業務のDX化が話題になっている。「Excelは古い」「すぐにシステム化すべき」という声も聞かれるが、本当にすべてのExcel業務をDX化すべきなのだろうか。実は、やみくもなDX化は逆効果になることも少なくない。Excel業務のDX化には正しい順序と判断基準が必要である。本記事では、DX化の利点を理解しながら、適切なアプローチについて考えていく。

DX化の利点

Excel業務をDX化することで得られる利点は確かに多数ある。まず、データの一元管理により情報の正確性が向上し、複数人での同時編集や更新作業がスムーズになる。次に、自動化による作業時間の大幅な削減が可能である。手作業で行っていた集計や転記作業から解放されることで、より付加価値の高い業務に時間を使えるようになる。さらに、データ分析の高度化により、経営判断のスピードと精度が向上する。これらの利点は、企業の競争力強化に直結する重要な要素である。

DX化の落とし穴

しかし、DX化を急ぐあまり失敗するケースも多く見られる。業務フローが整理されていない状態でシステムを導入すると、非効率な業務がそのままシステム化されてしまう。また、現場の声を聞かずにツールを選定すると、使いにくいシステムが現場に定着せず、結局Excelに戻ってしまうこともある。さらに、すべてを一度に変えようとすると、従業員の負担が大きくなり、業務が混乱する。投資したコストに見合う効果が得られず、DX化自体が目的化してしまう危険性もある。適切な準備なしのDX化は、かえって生産性を下げる結果を招くのである。

正しい進め方

Excel業務のDX化を成功させるには、段階的なアプローチが不可欠である。まず、現状の業務フローを可視化し、本当に必要な作業とムダな作業を明確に区別する。次に、Excelで十分な業務と、システム化すべき業務を見極めることが重要である。すべてをシステム化する必要はない。その上で、優先順位をつけて小さく始め、効果を確認しながら展開していく。従業員のITリテラシーに応じた教育も並行して行うことで、スムーズな移行が実現する。DX化は手段であり目的ではない。自社の状況に合わせた最適な方法を選ぶことが、真の業務改善につながるのである。

まとめ

Excel業務のDX化は、正しく進めれば大きな効果をもたらすが、順序を誤ると逆効果になる。利点を理解しつつ、自社の状況を冷静に分析し、段階的に進めることが成功の鍵である。やみくもなシステム化ではなく、業務改善を第一に考えた戦略的なアプローチを取るべきである。

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