賢いコスト削減

投資と競争力

バックヤードのシステム開発は収益と直接結びつかないため、できるだけケチりたいものである。にもかかわらず、バックヤードのデジタル化には大きなコストがかかる。しかし、新しいインフラに適切な投資ができない企業は競争力を失うのである。

要件定義の罠

バックヤードのシステムをできるだけ安く抑えようと思うと、要求定義や要件定義をしっかり作って依頼すればよいと考えがちである。もちろん、間違ってはいないが、入り口が安くなるわりに、システム開発の途中で追加工数が発生してしまい、結果としてシステムが高くなってしまうのである。

未来志向の要求

システム開発の途中で追加予算がかかってしまうのは、最初の要求定義や要件定義のときに想定される未来が見えていないことが原因である。これを見通すには要求定義や要件定義を行う背景や、未来の目指すところまでをエンジニア出身のアナリストに情報共有しなければならない。

投資の真価

導入時の金額だけをケチることは、保守運用などのランニングコストに跳ね返ってきてしまい、システムの寿命が短くなる。そうならないために、第三者のIT業者やITコンサルタントを入れるほうがよいと言われている。うまくDX化できれば生産性が上がり、投資を大きく回収できる。ことIT投資については、竹槍戦か空中戦かくらいの違いを生んでしまうのである。

まとめ

システム設計やプログラミング作業と同じようにITコンサルタントも1人の能力に偏りがちである。それゆえ、PMOと呼ばれるチームを形成することで、集合知を活用して、さらに未来を予測できるような体制を構築することが望ましい。

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QCDの死角

失敗の正体

システムの失敗は見えないことがある。ブラックボックスであるがゆえに隠せてしまうからである。失敗かどうかの線引きができないところがシステム構築プロジェクトの難しいところである。

エンジニアの真実

もしかしたら、エンジニアが都合の悪いことは隠していることがあるかもしれない。しかし、決めつけてしまうとエンジニアはへそを曲げてしまう可能性がある。隠しているつもりはなくても隠れていることもある。

成功の境界

失敗の線引きは、納期が遅れることであろうか。バグが多いということであろうか。実は、状況によって一概に言えないのである。QCDという言葉があるが、品質と費用と納期のバランスを上手にとったとしても成功か失敗か、すぐにはわからないのがシステムという無形物である。

コスパの本質

コスパという言葉があるが、かけるコストに対して、どれだけのパフォーマンスが出せるかが問題となる。システム開発では、コストからやりたいことを計算するのではなく、やりたいことを明確にしたうえで、コスト内でリッチ度合いを調節することが重要である。

まとめ

システム開発においては、失敗が見えにくいため、失敗しないように見えるのかもしれない。失敗しないことは、成功であるということでもない。時間が経つにつれて失敗を感じることもあり得るのである。

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DX予算が通らない真因

DX予算否決の壁

「DX推進の予算を申請したのに、経営層から却下されてしまった」——そんな苦い経験を持つDX担当者は少なくない。市場環境の変化や競合のデジタルシフトに対応するため、DXが急務であることは多くの方が理解している。しかし、その必要性が経営層に正しく伝わらなければ、どれほど優れた施策であっても予算は承認されない。実は、予算が通らない本当の原因は、提案内容そのものではなく「伝え方」にあることがほとんどである。

経営層が承認しない理由

多くのDX担当者は、最新技術のトレンドや業務効率化の可能性を中心にプレゼンを組み立てがちである。しかし、経営層が重視するのは「技術の新しさ」ではなく「投資に対するリターン」だ。具体的なROIの試算や競合他社の導入事例、導入しなかった場合のリスクといった経営判断に直結する要素が欠けていると、提案は「面白いが今ではない」と先送りにされてしまう。さらに、現場の業務課題と経営課題を結びつける視点が弱いことも、予算が通らない大きな要因のひとつである。経営層の関心事を正しく理解し、その言語で語ることが予算承認への第一歩となる。

予算を勝ち取る提案術

では、どうすれば経営層を動かす提案ができるのか。まず重要なのは、DXの目的を「業務改善」ではなく「経営課題の解決」として再定義することである。たとえば「受発注業務をデジタル化する」ではなく、「受発注のリードタイムを30%短縮し、年間○○万円のコスト削減と顧客満足度の向上を実現する」というように、具体的な数値で効果を示す。次に有効なのが、スモールスタートの提案だ。いきなり大規模な投資を求めるのではなく、まず小さな成功事例を作り、その実績をもとに次の予算を獲得していくアプローチは、経営層の心理的ハードルを大幅に下げてくれる。加えて、同業他社の成功事例や政府の補助金制度を活用した費用対効果の説明も、説得力を高める強力な武器になる。

DX予算獲得は伝え方が9割

DX予算が通らない根本的な原因は、多くの場合、技術や施策の問題ではなく経営層との「コミュニケーションギャップ」にある。担当者が見ている世界と経営層が見ている世界は異なり、現場の課題感をそのまま伝えるだけでは、経営判断に必要な情報が不足してしまうのだ。大切なのは、経営層が意思決定しやすい形に提案を翻訳することである。ROI、リスク、競合動向、段階的な投資計画——これらの要素を盛り込むことで、提案の説得力は格段に上がる。DXは一度の提案で完結するものではない。小さな成功を積み重ね、信頼と実績を築きながら組織全体の変革を推進していく姿勢こそが、最終的に大きな予算獲得へとつながっていくのである。

まとめ

DX予算が通らない原因は、提案内容よりも経営層への伝え方にある。技術視点ではなく経営視点で語り、具体的なROIやリスクを数値で示すこと。そしてスモールスタートで実績を作り、段階的に投資を拡大するアプローチが有効である。

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要件定義の問題点

はじめに

会社の雰囲気や要件定義の内容をみれば、おおよそそのプロジェクトが成功するか否かがわかる。うまくいかない場合のユーザー側とシステム会社側の原因の一例である。

・要件定義をシステム会社に任せてしまう
・元請けシステム会社が無理な要件でも受注する
・準委任契約の人材紹介会社がリスクなく利鞘を稼げる
・末端エンジニアの作業遂行以外の責任
・ユーザー側、発注側の担当者が保身する

今回はその背景を説明したい。

要件定義の丸投げ

要件定義をシステム会社に任せてしまう。
要件定義はシステム会社がユーザー企業をヒアリングして作るものではなく、ユーザーとシステム会社が議論を重ねることで答えを出していくものにしなくてはならない。ユーザーが目指すべき姿と、システム会社が実現すべき姿のすり合わせが重要である。

無理な受注

元請けシステム会社が無理な要件でも受注する。
無理な要件でも受注できるのは、発注側にもシステムの知識がないため、ゴールが曖昧なまま元請けシステム会社が請け負ってしまうからである。もし、発注側にITリテラシーがなければ、パワハラなども発生する可能性が高い。したがって、元請けシステム会社に精神的な課題を回避するため、要件定義を作る人でさえも二次受けシステム会社から集めてくることがある。

人材紹介会社の利益構造

準委任契約の人材紹介会社がリスクなく利鞘を稼げる。
システムの完成責任は負わず、作業だけ請け負うことになるため、人さえ集めてくれば、そこでリスクなく利鞘が稼げる。発注側のユーザー企業からすれば、契約は元請けシステム会社であるため、3次請け、4次請けを使おうが、完成さえすればいいと考えていることが多い。

エンジニアの責任範囲

末端エンジニアの作業遂行以外の責任。
末端のエンジニアには、クライアントとの調整や導入、一定品質や納期の遵守など、責任感や危機感がないこともある。プロジェクトの全貌が見えないことも原因である。また、言われたことをやるだけで報酬がそこそこあるのが、システムエンジニアの業界だったりするので、作業をした時間分だけ報酬を支払ってほしい、という話にもなる。

発注側の保身

ユーザー側、発注側の担当者が保身する。
システム開発がうまくいかなかったときに、発注側の担当者がシステム会社に責任を押し付けるといったことがある。これは信頼関係によるもので、共同でプロジェクトを成功させようという目標が作れなかった場合に発生する。システム会社を業者扱いして要件定義を丸投げしてしまわないようにしなければならない。

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