思考と決断のPM力

PMの真価

スキルシート上にあるPMというのは、どういった開発言語や開発環境などを使ってきたかという内容であることが多く、SEの延長という意味合いが強く残っている。もし、期待するポジションが発想力や提案力にあるとすれば、姿勢をみることが大切となる。

従順の呪縛

就職氷河期と呼ばれる世代より上の年齢層では、常に従うことを幼少期から叩き込まれていると考えられる。日本では「禁止」か「許可」かを常に意識しながら仕事をしており、「許可されるまでは禁止されている」と考えているのではないかと推察される。

失敗からの成長

正しいか、間違っているか、の判断基準しか持ち合わせていない場合、何か問題が発生したときに時間を遡ってどこで判断を間違えたのかを追求する。それは大切なことであるが、実際のプロジェクトでは誤ったことを反省しつつ修正しながら進むことが大切である。

判断力の真髄

エンジニア出身のPM(開発プロジェクトのPM)だと、禁止か許可かというデジタルのような見方をしている人もいる。特に今日のシステムに関するプロジェクトでは、ゼロかイチだけでは判断できないような、ウエットでアナログな状況判断が必要となる。

まとめ

たとえ能力の高いPMだったとしても、仕事になると発想することや作ることの楽しみより、ミスによる懲罰を恐れたりするために、無難で当たり障りのない判断をしがちである。システムに関するプロジェクトがなかなか前へ進まない理由でもある。

関連記事

ローコード開発とAI活用

AIとローコードの融合

ローコード開発プラットフォームの普及により、非エンジニアでもアプリケーション開発が可能になった現在、生成AIの活用が大きな注目を集めている。ChatGPTやCopilotなどのAIツールを組み合わせることで、開発スピードがさらに向上すると期待されているが、本当にすべてのローコード開発にAIが必要なのだろうか。コスト、品質、保守性など多角的な視点から、AI導入の真の価値を見極めることが、企業のDX戦略において極めて重要になっている。

コード生成の現実

生成AIによるコード生成は確かに魅力的だが、実際の品質には課題がある。AIが生成するコードは、単純な処理であれば高品質だが、複雑なビジネスロジックや例外処理が絡むと、不完全なコードが生成されることが少なくない。さらに深刻な問題は要件定義の壁である。AIは与えられたプロンプトに基づいてコードを生成するが、曖昧な要件や暗黙の前提条件を正確に理解することは困難である。結果として、開発者は生成されたコードを詳細に検証し、修正する必要があり、期待したほどの効率化が実現しないケースも多く見られる。

保守性のコスト

AIを活用したローコード開発において、最も見落とされがちなのが保守性の課題である。AI生成コードは、その時点では動作しても、後から読み解くことが困難な構造になっていることがある。変数名が不適切だったり、処理の意図が不明瞭だったりすると、半年後に修正が必要になった際、開発担当者が変わっていた場合、大きな手戻りが発生する。また、AIツールのバージョンアップや仕様変更により、過去に生成されたコードとの互換性が失われるリスクも存在する。初期開発のスピードを重視するあまり、長期的な運用コストが膨らんでしまっては本末転倒である。真のDX推進には、目先の効率化だけでなく、持続可能な開発体制の構築が不可欠なのである。

適切な見極め

ローコード開発におけるAI活用は、すべてのケースで必須というわけではない。定型的な画面開発や単純なCRUD操作など、パターン化された開発にはAIが有効だが、複雑なビジネスロジックや高度なセキュリティが要求される領域では、人間による丁寧な設計と実装が重要である。重要なのは、プロジェクトの性質、チームのスキルレベル、長期的な保守計画を考慮した上で、AIを活用すべき領域と従来手法を維持すべき領域を明確に区分することである。段階的にAIツールを導入し、効果を検証しながら適用範囲を拡大していく慎重なアプローチが、失敗リスクを最小限に抑え、真の生産性向上につながる。

まとめ

ローコード開発へのAI導入は、万能の解決策ではなく、適材適所で活用すべきツールである。コード生成の質、要件定義の難しさ、保守性の課題を十分に理解した上で、自社の開発体制に合った形でAIを取り入れることが成功の鍵となる。短期的な効率化だけでなく、長期的な運用まで見据えた戦略的な判断が求められている。

続きを見る >

QCDの死角

失敗の正体

システムの失敗は見えないことがある。ブラックボックスであるがゆえに隠せてしまうからである。失敗かどうかの線引きができないところがシステム構築プロジェクトの難しいところである。

エンジニアの真実

もしかしたら、エンジニアが都合の悪いことは隠していることがあるかもしれない。しかし、決めつけてしまうとエンジニアはへそを曲げてしまう可能性がある。隠しているつもりはなくても隠れていることもある。

成功の境界

失敗の線引きは、納期が遅れることであろうか。バグが多いということであろうか。実は、状況によって一概に言えないのである。QCDという言葉があるが、品質と費用と納期のバランスを上手にとったとしても成功か失敗か、すぐにはわからないのがシステムという無形物である。

コスパの本質

コスパという言葉があるが、かけるコストに対して、どれだけのパフォーマンスが出せるかが問題となる。システム開発では、コストからやりたいことを計算するのではなく、やりたいことを明確にしたうえで、コスト内でリッチ度合いを調節することが重要である。

まとめ

システム開発においては、失敗が見えにくいため、失敗しないように見えるのかもしれない。失敗しないことは、成功であるということでもない。時間が経つにつれて失敗を感じることもあり得るのである。

続きを見る >

オフショア開発発注元として日本企業と競合するアメリカ企業に勝つためには

日本企業は、ソフトウェア開発の分野で、アメリカ企業との競争に直面している。特に、ベトナムをオフショア開発の拠点として活用する場合、アメリカ企業の影響力や優位性を無視できない。しかし、日本企業にもベトナム市場で勝ち残るための強みや戦略がある。本記事では、アメリカ企業のベトナムへのオフショア開発と、日本企業のベトナムへのオフショア開発を比較し、その違いや課題を分析する。

アメリカ企業のベトナムへのオフショア開発の現状

アメリカは、世界最大のソフトウェア市場であり、ITエンジニアの需要も高い。しかし、国内ではITエンジニアの人材不足や高コストが課題となっており、多くのアメリカ企業は海外にオフショア開発を委託している。その中でも、ベトナムは近年注目されているオフショア開発先の一つである。

ベトナムは、東南アジアで最も急速に経済成長している国であり、若くて優秀なIT人材が豊富に存在する。また、人件費も低く、地理的にも日本やアメリカと時差が少ないことなどが、オフショア開発に適した環境となっている。さらに、ベトナム政府はIT産業の育成に力を入れており、税制優遇やインフラ整備などを行っている。

これらの要因から、ベトナムはオフショア開発市場で高い競争力を持っており、多くの国から注目されている。特に、アメリカからは大手IT企業やスタートアップ企業が相次いでベトナムに進出しており、オフショア開発だけでなく、自社製品やサービスの開発や販売も行っている。例えば、マイクロソフトやIBMはハノイやホーチミン市に研究開発センターを設置し、AIやブロックチェーンなどの先端技術を活用したプロジェクトを展開している。また、グーグルやフェイスブックはベトナム市場における自社サービスの普及に力を入れており、ローカライズやマーケティングを強化している。

こうした動きからわかるように、アメリカ企業はベトナムでオフショア開発を行うだけでなく、ベトナム市場そのものに参入しようとしている。その背景には、ベトナムが持つ巨大な消費者層やビジネスチャンスに対する期待がある。ベトナムは、約1億人の人口を持ち、そのうち6割が25歳以下という若い世代が多い。また、インターネット普及率は約7割であり、スマートフォンやSNSの利用も盛んである。これらの要素は、アメリカ企業にとって魅力的な市場となっている。

日本企業のベトナムへのオフショア開発の現状

日本企業も、アメリカ企業と同様に、ベトナムをオフショア開発の拠点として活用している。日本は、ベトナムにおけるオフショア開発の最大の発注国であり、ベトナムのIT産業に大きな影響力を持っている。日本企業は、ベトナムにおけるオフショア開発の歴史が長く、多くの実績や信頼関係を築いてきた。また、日本とベトナムは文化的にも親近感があり、コミュニケーションやビジネススタイルにおいても相性が良いと言われている。

日本企業は、ベトナムでオフショア開発を行う際に、主に以下の3つの方法を取っている。

  1. ベトナム現地法人や子会社を設立し、自社でオフショア開発を行う
  2. ベトナム現地のオフショア開発会社と提携し、外部委託する
  3. 日本国内のオフショア開発会社と提携し、間接的に委託する

これらの方法にはそれぞれメリットやデメリットがあり、日本企業は自社のニーズや予算に応じて選択している。例えば、自社でオフショア開発を行う場合は、品質管理やプロジェクト管理が容易であるが、初期投資や人材確保などのコストが高くなる。一方、外部委託する場合は、コスト削減やスピード感が得られるが、品質やセキュリティなどのリスクが高まる。

日本企業は、ベトナムでオフショア開発を行う目的として、主に以下の3つを挙げている。

  1. 開発コストの削減
  2. IT人材不足の解消
  3. ベトナム市場への参入

これらの目的にはそれぞれ重要度が異なり、日本企業は自社の戦略に応じて優先順位を決めている。例えば、開発コストの削減を最優先する場合は、安価なオフショア開発会社を選択することが多い。一方、IT人材不足の解消やベトナム市場への参入を重視する場合は、技術力や日本語能力などの条件を満たすオフショア開発会社を選択することが多い。

アメリカ企業と日本企業のオフショア開発の違い

前述したように、アメリカ企業と日本企業は、ベトナムでオフショア開発を行う際に、異なる方法や目的を持っている。このセクションでは、その違いを以下の4つの観点から分析する。

  1. 発注単価
  2. 開発規模
  3. 開発内容
  4. 開発手法

発注単価

オフショア開発の発注単価は、国や企業によって大きく異なる。一般的には、アメリカ企業の方が日本企業よりも高い単価でオフショア開発を行っていると言われている。これは、アメリカ企業が求める品質やスキルが高いことや、アメリカの人件費が高いことなどが理由として挙げられる。

例えば、ベトナムでオフショア開発を行う場合、日本企業の平均的な発注単価は、人月2000ドル~2500ドル程度である。一方、アメリカ企業の平均的な発注単価は、人月3000ドル~4000ドル程度である。このように、アメリカ企業は日本企業よりも約1.5倍~2倍の単価でオフショア開発を行っていると言える。

この単価差は、ベトナムのオフショア開発会社にとっても大きな影響を与えている。高単価の案件を受けることで、利益率を高めたり、人材育成や技術力向上に投資したりすることができる。また、高単価の案件はエンジニアにとっても魅力的であり、優秀な人材を確保しやすくなる。そのため、ベトナムのオフショア開発会社は、アメリカ企業からの案件を優先的に受け入れる傾向がある。

開発規模

オフショア開発の開発規模も、国や企業によって異なる。一般的には、アメリカ企業の方が日本企業よりも大規模な開発プロジェクトを行っていると言われている。これは、アメリカ企業がグローバル市場をターゲットにした製品やサービスの開発を行っていることや、インドなどの大規模なオフショア開発市場に慣れていることなどが理由として挙げられる。

例えば、ベトナムでオフショア開発を行う場合、日本企業の平均的な開発規模は、10人~20人程度のチームである。一方、アメリカ企業の平均的な開発規模は、50人~100人程度のチームである。このように、アメリカ企業は日本企業よりも約5倍~10倍の規模でオフショア開発を行っていると言える。

この規模差は、ベトナムのオフショア開発会社にとっても大きな影響を与えている。大規模なプロジェクトを受けることで、売上や規模を拡大したり、組織やマネジメントの能力を高めたりすることができる。また、大規模なプロジェクトはエンジニアにとっても魅力的であり、多様な経験やスキルを身につけることができる。そのため、ベトナムのオフショア開発会社は、アメリカ企業からの案件を優先的に受け入れる傾向がある。

開発内容

オフショア開発の開発内容も、国や企業によって異なる。一般的には、アメリカ企業の方が日本企業よりも先端的な技術やイノベーションを求めていると言われている。これは、アメリカ企業がグローバル市場での競争力を高めるために、AIやブロックチェーンなどの最新技術を活用した製品やサービスの開発を行っていることや、シリコンバレーなどのイノベーションの発信地に近いことなどが理由として挙げられる。

例えば、ベトナムでオフショア開発を行う場合、日本企業の平均的な開発内容は、製造業や金融業などの既存業界におけるシステム開発や運用保守である。一方、アメリカ企業の平均的な開発内容は、ゲームやECなどの新興業界におけるプロダクト開発やサービス提供である。このように、アメリカ企業は日本企業よりも先端的な技術やイノベーションを求めていると言える。

この内容差は、ベトナムのオフショア開発会社にとっても大きな影響を与えている。先端的な技術やイノベーションを扱うことで、技術力や知識を高めたり、市場価値を高めたりすることができる。また、先端的な技術やイノベーションを扱うことはエンジニアにとっても魅力的であり、やりがいや成長感を感じることができる。そのため、ベトナムのオフショア開発会社は、アメリカ企業からの案件を優先的に受け入れる傾向がある。

開発手法

オフショア開発の開発手法も、国や企業によって異なる。一般的には、アメリカ企業の方が日本企業よりも柔軟かつ効率的な開発手法を採用していると言われている。これは、アメリカ企業がグローバル市場での変化に対応するために、アジャイル開発やDevOpsなどの最新の開発手法を活用したプロジェジェクトを行っていることや、アメリカのIT業界における開発手法の普及度が高いことなどが理由として挙げられる。

例えば、ベトナムでオフショア開発を行う場合、日本企業の平均的な開発手法は、ウォーターフォール型やV字型などの計画的な開発手法である。一方、アメリカ企業の平均的な開発手法は、スクラムやカンバンなどのアジャイル型やDevOps型などの反復的な開発手法である。このように、アメリカ企業は日本企業よりも柔軟かつ効率的な開発手法を採用していると言える。

この手法差は、ベトナムのオフショア開発会社にとっても大きな影響を与えている。柔軟かつ効率的な開発手法を採用することで、品質や納期の管理を改善したり、顧客とのコミュニケーションを強化したりすることができる。また、柔軟かつ効率的な開発手法を採用することはエンジニアにとっても魅力的であり、自律性や創造性を発揮することができる。そのため、ベトナムのオフショア開発会社は、アメリカ企業からの案件を優先的に受け入れる傾向がある。

日本企業が戦略的に狙うポジションはなにか

以上のことから、人材獲得競争において日本企業はアメリカの案件に負けるというのが現実である。

しかしこれは一面だけを見ているところはある。
まずは日本の方がアメリカよりも距離が近く時差も少なく、親近感を抱かれているのも確かだ。
契約によって硬直的にプロジェクトを作るというのは、文化の問題という前に、ソフトウェア開発の手法として適切である場面が限られているのが確かであり、日本風の柔軟なやり方は、かつては非常に曖昧だと言われたこともあるが これはこれで柔軟だという側面も持つ。
またそのような日本企業の仕事文化を好むベトナム人もいる。ベトナムは意外なほど契約社会ではあるが、ベトナム人がメンタルセットとしては日本人に似ているのは確かである。 そのため日本の案件はアメリカ企業に比べてやりやすい、という感覚を持つベトナム人は一定数存在する。
またアメリカ企業の案件は一定のスキルを持つ人たちを要求する事が多いため、経験者や有資格者や高学歴者を優先する傾向にあり、最近では AI などの先端が話題の技術については引っ張りだことなっている。これらのハイエンドな人材の獲得競争について日本企業が勝つことは難しいのだが、逆に言うとローエンドであったり、まだあまり経験がないが勉強はよくできると言ったいわゆる 地頭のいい新卒といったタイプのエンジニアを日本企業は好むというところがある。 これらはアメリカ企業の案件においてはあまり評価されないので、その点で日本の案件とマッチしているところがある。

日本がベトナムでオフショア開発をする場合に、かつてのようにただ日本企業であるだけでよかった時代はもう明瞭に終わった。そして主に金銭的な意味においてアメリカ企業との人材獲得競争に負けつつあるというのが全体的な傾向である。
しかし 全体的な傾向はそうでも 個別にマッチする人材や案件を見ていくと、日本の案件とベトナムの企業との間で上手い組み合わせになるようなものが多いのも確かである。

これから先 ベトナムでオフショア開発をしていこうと考えるところがあれば、アメリカ企業とどのように差別化できるかという観点から ブラッシュアップしてみることは大変有益であろう。アメリカ企業とうまく差別化でき、ベトナム企業との間にうまいマッチングが見出せてるのならば、それは非常に成功する確率の高いオフィシャル 開発 であるというように言えるだろう。

続きを見る >