ITコミュニケーターについて

ITコミュニケーター(IT Communicator)とは?

ITコミュニケーターとは、主にオフショア開発における依頼側の組織と海外のソフトウェア開発チームとの間で情報を効果的にやり取りする役割を担う翻訳者のことを指します。異なる地域や国にある開発チームとのコミュニケーションを円滑に進める重要な存在です。

主な仕事は、依頼者からの要件を正確に理解し、それを開発チームに明確に伝えることです。これにより、双方の間での誤解を防ぎ、プロジェクトの進行をスムーズにします。さらに、ITコミュニケーターは単なる翻訳者ではなく、ソフトウェア開発の進捗状況を定期的に確認し依頼者に報告します。開発チームからのフィードバックや質問も依頼者に伝える役割を担います。

また、開発過程で生じる様々な問題や課題があった場合にも解決のために立ち回ります。もちろん技術的な問題だけでなく、コミュニケーションの問題も含まれます。オフショア開発では異なる文化背景を持つ人々との間でのコミュニケーションが必要となるため、ITコミュニケーターは文化的な違いも柔軟に理解しようとします。日本のような特異な文化を持つ国でのプロジェクトにおいては特に重要です。

ITコミュニケーターは役割を遂行するために高度なコミュニケーション能力、優れたリーダーシップと管理能力、問題解決能力が求められています。プロジェクトの特性に応じて業務知識や技術的知識も身につける必要があるため、言語を翻訳するトランスレーター(翻訳者)を超えたITコミュニケーター(IT Communicator)という専門性の高い職種が注目されています。

ITコミュニケーターの役割

ベトナム企業と連携してソフトウェアを開発する場合、ITコミュニケーターの役割は非常に重要でありプロジェクトの成功を大きく左右します。オフショア開発は、異なる地理的地点、時差、文化、言語に基づく課題に直面します。
こうした課題を克服するために、以下のような主な役割を果たします。

情報の橋渡し: チーム間のコミュニケーションギャップを埋めるため、ITコミュニケーターは情報の仲介者となります。要件、フィードバック、更新情報を効率的に伝達します。

コミュニケーションプランの作成: コミュニケーターは、どの情報がどのように伝達されるか、誰が関与し、どのようなタイミングで行うかなど、具体的なコミュニケーション計画を策定します。これには、会議のスケジューリング、アジェンダの作成、レポートの作成などが含まれます。

文化的な違いの理解: 国や地域間の文化的な違いは、コミュニケーションに混乱をもたらす可能性があります。コミュニケーターは、これらの違いを理解し、それに対応するための戦略を作ります。

問題解決: システム仕様や開発したプログラムなどに誤解が生じた場合、コミュニケーターはこれらを解決するための策を講じます。これには、問題の調査、関係者との対話、解決策の提案が含まれます。

リーダーシップと調整: コミュニケーターはリーダーシップの役割も果たし、チーム間の調整を促します。彼らはプロジェクトの目標に向けてチームを導き、各チームの役割と責任を明確にします。

テクニカルスキル: ITプロジェクトでコミュニケーションを担当する者は、プロジェクトのテクニカルな側面を理解する能力が必要です。これにより、技術者と非技術者の間で橋渡しをすることが可能となります。

対人スキル: コミュニケーターは異なるバックグラウンドを持つ人々と一緒に働くため、強い対人スキルと文化的な敏感さが求められます。これにより、コミュニケーションの誤解を最小限に抑え、効果的な協力関係を築くことが可能となります。

適応性: オフショア開発は予期しない課題が発生することがあります。そのため、コミュニケーターは柔軟性と適応性を持つことが求められます。

ブリッジSEとの違い

ITコミュニケーターは複雑な技術的な概念を一般の人々が理解できるように説明する能力が必要になります。
これに対して、ブリッジSEという、依頼者と開発チーム間のコミュニケーションを同じように円滑にする役割を担うポジションがあります。

ブリッジSEは通常、技術的なバックグラウンドを持ち、プロジェクトの要件を理解し、それを開発チームに明確に伝達する役割を果たします。彼らはクライアントの要望を技術的な要件に変換する能力があり、開発チーム側に近い思想で実装まで担当することがあります。

一方、ITコミュニケーターは、その名の通りコミュニケーションの専門家であり、プロジェクト全体のコミュニケーションを円滑にします。ブリッジSEよりもユーザー側にポジションするため、依頼者と開発チームの間でお互いの認識に誤解を生じさせないといった目的の違いがあります。

ブリッジSEは技術的なコミュニケーションに重点が置かれており、ITコミュニケーターは全体的なコミュニケーションとコミュニケーションに重点が置かれています。

ITコミュニケーターは、異なるバックグラウンドを持つ人々をつなぎ、一つの目標に向かって進むことを可能にする、非常に重要な職業です。
その努力と専門性はプロジェクトの成功を大いに支えています。