ローコード開発≠安い

誤解されるコスト削減

実はローコード・ノーコードツールを使えば、開発が必要なくなるので安くなるというのは正しくない。たしかに、ノーコードツールを社内メンバーでCMSを使ってソフトを作るという場面は開発費用はかからない。

CMSとはコンテンツ・マネジメント・システムの略で、たとえばWebサイトのコンテンツを構成するテキストや画像、デザインなどを非エンジニアがプログラミングをせずに作成や管理できる仕組みのことである。ローコードツールはそれに加えて少しのプログラミング知識でシステムやツールを作成できることである。

開発手法の選択基準

断じてローコード開発だからといって安いわけではない。開発手法の特性による得手不得手を上手に使い分けるからトータルとして価格が安くなるということである。非エンジニア営業の金額調整という意味での判断でローコード開発を選択する場合は失敗することがある。

システム導入の本質理解

ローコード開発でも、システム導入の目的や条件が本質的にわかっていなければ、仕様要件のブレによって結果としてトータルが安くなることはない。これはローコード開発ということが問題なのではなく、フルスクラッチ開発であっても、SaaSと利用する場合であっても同じことが言える。

負債の危険

本来ローコード開発が適さない場合にも関わらず無理やりに合わせることで、プログラム部分の複雑性が増し、技術的負債となって大きな問題になっていく。結果として安くはならず、ローコード開発のメリットであるメンテナンス性までも損なうため、トータルで考えると高くなる。

まとめ

お客様の予算内で考えないといけないので、といった口癖があれば注意が必要である。クライアントの言いなり状態であれば、無理な要求は開発における仕様だけではないだろう。金額を含めた総合的な判断ができる人が、結果としてローコード開発を選択するわけである。

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思考と決断のPM力

PMの真価

スキルシート上にあるPMというのは、どういった開発言語や開発環境などを使ってきたかという内容であることが多く、SEの延長という意味合いが強く残っている。もし、期待するポジションが発想力や提案力にあるとすれば、姿勢をみることが大切となる。

従順の呪縛

就職氷河期と呼ばれる世代より上の年齢層では、常に従うことを幼少期から叩き込まれていると考えられる。日本では「禁止」か「許可」かを常に意識しながら仕事をしており、「許可されるまでは禁止されている」と考えているのではないかと推察される。

失敗からの成長

正しいか、間違っているか、の判断基準しか持ち合わせていない場合、何か問題が発生したときに時間を遡ってどこで判断を間違えたのかを追求する。それは大切なことであるが、実際のプロジェクトでは誤ったことを反省しつつ修正しながら進むことが大切である。

判断力の真髄

エンジニア出身のPM(開発プロジェクトのPM)だと、禁止か許可かというデジタルのような見方をしている人もいる。特に今日のシステムに関するプロジェクトでは、ゼロかイチだけでは判断できないような、ウエットでアナログな状況判断が必要となる。

まとめ

たとえ能力の高いPMだったとしても、仕事になると発想することや作ることの楽しみより、ミスによる懲罰を恐れたりするために、無難で当たり障りのない判断をしがちである。システムに関するプロジェクトがなかなか前へ進まない理由でもある。

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デジタル化の誤解:効率化の落とし穴

デジタル化は効率化を保証しない

デジタル化と聞くと、多くの人が効率化を期待する。しかし、たとえばFAXで受け取った紙の受注をOCR(文字認識)でデジタルデータ化し、データベースに保存しても、それは単なるデジタル化に過ぎない。デジタル化を行うだけでは本質的な効率向上は望めず、業務フローの見直しがなければ効果は限定的だ。

非効率なフローをそのままデジタル化するリスク

最も大きな問題は、業務フローを見直さずにデジタル化を行うことだ。従来の手作業のフローをそのままデジタル化すれば、かえって作業が煩雑化し、時間がかかることもある。特にITに疎い権限者が意思決定を行う場合、このような失敗はよく見られる。「デジタル化=効率化」と誤解し、実際には逆効果となるケースも少なくない。

俯瞰できないシステム担当者の問題

システム担当者やシステム会社が、俯瞰的な視点を持たない場合も問題だ。業務フローを把握せず、指示通りにデジタル化を進めれば、非効率なシステムが出来上がる。ユーザー部門は「IT化で逆に効率が悪くなった」と感じ、最悪の場合、システムが欠陥品だと誤解されることもある。業務の流れを把握し、適切にデジタル化を進めることが必要だ。

生成AI導入の失敗例

生成AIの導入に関する相談も増えているが、その多くは「期待通りに動かない」という内容だ。その原因は、多くの場合、AIが本来必要ない箇所に導入されていることだ。たとえば、ただのデータ管理であれば、生成AIではなくRDB(リレーショナルデータベース)のほうが合理的だ。効率を上げるには、AIの利用が本当に適切かを見極める判断力が必要だ。

まとめ

「ITが分からないから任せる」という姿勢はリスクが高い。ITを知らない人がIT化を進めるのは、決算書を読めないのに経営をするのと同じだ。業務フローを理解し、技術を正しく活用するには横断的な視点と経験が不可欠だ。

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2025年AI活用トレンド

2025年のAI活用

2025年は企業におけるAI活用が実証実験から本格導入へと移行する転換期となっている。生成AI市場は急速な拡大を続けており、専門人材の不足を補うソリューションとして中堅企業にも急速に普及が進んでいる。大手企業では数百億円規模の投資計画が発表され、業務効率化だけでなく新規事業創出への期待も高まっている。本記事では、2025年に押さえておくべきAI活用の主要トレンドを解説する。

自律型AIエージェントの台頭

2025年の最大のトレンドは「AIエージェント」の台頭である。エージェント型AIは、ユーザーが設定した目標に向けて自律的に計画を立て行動する新しいAIシステムであり、従来のAIアシスタントとは異なり人間からの直接的な指示がなくても主体性を持って行動できる点が特徴である。また、画像、音声、テキストを統合的に処理するマルチモーダル技術の進化により、業務プロセスは新たな段階へと移行している。複数の情報形式を同時に分析することで、これまで見えなかった相関関係の発見が可能となり、意思決定の精度向上に貢献している。

成功と失敗の分岐点

一方で、AI導入には課題も存在する。2024年の実績から、導入効果に大きな差が生じていることも明らかになってきた。成功企業と失敗企業の分岐点として、経営層のコミットメント、段階的な展開計画、現場との密な連携が挙げられている。さらにAIの過剰な期待の時代から、AIの成果が問われる時代へと移行しており、企業は投資から明確で測定可能な価値を生み出す準備が求められている。加えて、AIガバナンスと偽情報対策の重要性も増しており、AIの責任ある活用と安全な運用が求められている。セキュリティリスクへの対応も含め、戦略的なAI導入計画の策定が不可欠となっている。

段階的導入の重要性

AI活用を成功させるためには、いきなり大規模導入を目指すのではなく、自社の課題を正確に把握した上で小規模な実証実験から始めることが推奨される。成功企業に共通するのは、経営層の強いコミットメント、段階的な展開計画、そして現場との密な連携である。特に重要なのは、AIを単なるツールとしてではなく、業務プロセス全体を見直す契機として捉えることである。現場の声を反映しながら、継続的な改善サイクルを回すことで、投資対効果を最大化できる。外部の専門家による伴走支援を受けながら、自社に最適なAI活用戦略を構築していくことが成功への近道となるであろう。

まとめ

2025年のAI活用は、AIエージェントやマルチモーダル技術の進化により大きな転換期を迎えている。しかし、成果を出すためには段階的な導入計画と現場との連携が不可欠である。ROIの実証やガバナンス体制の構築も含め、戦略的なアプローチでAI活用を推進していくことが求められている。

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