開発の相場

相場の不在

フルスクラッチでのシステム開発に相場はない。相場とは商品が一般的に流通している商品など数が多い場合は、競争原理も働き、金額がある一定の範囲に収まってくるものである。

建築との差異

たとえば、一戸建て建築であれば、建物の規模と資材、それに加えて職人の人工で金額が決まる。フルスクラッチのシステム開発は、つまり極めて特殊な特注品を作るようなものであるため、システム開発に相場という概念が基本的にはないのである。

人件費の実態

システム(ソフトウェア)は一戸建てのように、基本的には材料費はかからない。システム開発の費用のほとんどは人件費である。大工職人の人工と同じように人月単価と呼ばれるSE1人が1ヶ月働く金額で相場を知ることができるのである。

工期の変動

建物を建てることと比べるとシステムやソフトウェアは無形の物となるため、1ヶ月の労働力を推し量ることは困難である。個人のプログラミングの早さによって、納期が早くなったり遅くなったりするのである。

まとめ

SEは過去のプロジェクト参画実績から、同じようなプロジェクトに何度も参画していれば手練れでスキルが高いと評価される。システムに関わる人材の評価が困難な点は、プロジェクトに参画する経験値と、本当の意味でのスキルが比例するわけではないことである。本当の意味でのスキルとはプロジェクトを成功させられるかどうかを指すのである。

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AIチャットボットの現実

チャットボット幻想と現実

人手不足や生産性向上が叫ばれる中、多くの企業で「問い合わせ業務の多くはAIチャットボットで代替できるのではないか」という期待が高まっている。確かに、人間と自然に会話できるAIの実現は、多くの技術者が長年抱き続けた夢でもあった。しかし、過去には言語理解や文脈の把握に技術的な限界があり、実用化には程遠いというのが現実だった。こうした期待と現実のギャップが、AIチャットボット導入の失敗要因となってきた。

チャットボットの進化

2000年代には、ルールベースやシナリオ型のチャットボットが登場し、定型的なカスタマーサポートなどで徐々に実用化され始めた。とはいえ、自然な対話というより「決められた会話」に近く、限定的な使い方にとどまっていた。ところが2020年代に入り、ディープラーニングの飛躍とともに自然言語処理の精度が格段に向上し、Google、Facebook、OpenAIといった技術企業が次々に大規模言語モデル(LLM)を発表したことで、チャットボットは“おしゃべりマシン”から会話パートナーへと進化した。

ChatGPTの衝撃

ChatGPTのような生成AIが登場し、誰でも使えるようになったことで、AIチャットボットの活用は一気に加速した。従来のようなFAQへの対応だけでなく、長文の文書作成や要約、翻訳、さらにはプログラミング支援など、より複雑で創造的な作業もこなせるようになっている。人間の知的作業領域に深く入り込み、単なる効率化ツールにとどまらない存在となった。もはや「使えるかどうか」ではなく「どう使うか」が問われるフェーズに突入している。

業界全体への波及

AIチャットボットの導入は、ビジネスだけでなく教育、医療、自治体など、多様な分野に広がっている。学生の学習サポートから医療問診の補助、行政窓口での自動対応まで、AIは生活の一部に組み込まれつつある。この変化は、かつてITインフラを支えてきた旧世代のエンジニア像を超える大転換だ。業務が高度化し、かつ柔軟性が求められる現代において、AIと協働する力が企業と個人の双方に求められている。

まとめ

AIチャットボットは、単なる業務効率化ではなく、人間の知的作業を補助する“共創”のパートナーである。ただし誤情報、倫理、プライバシーといった課題も存在する。こうした課題を踏まえ、社会全体でのルール整備と、使い方の成熟が必要だ。AI導入を成功させるには、「AIも使い様」という視点が欠かせない。ITの導入に乗り遅れてきた企業ほど、AI活用でも二の舞になりかねない。アタラキシアDXは、AI黎明期からの導入支援経験をもとに、技術とビジネスの橋渡しを支援している。

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賢いコスト削減

投資と競争力

バックヤードのシステム開発は収益と直接結びつかないため、できるだけケチりたいものである。にもかかわらず、バックヤードのデジタル化には大きなコストがかかる。しかし、新しいインフラに適切な投資ができない企業は競争力を失うのである。

要件定義の罠

バックヤードのシステムをできるだけ安く抑えようと思うと、要求定義や要件定義をしっかり作って依頼すればよいと考えがちである。もちろん、間違ってはいないが、入り口が安くなるわりに、システム開発の途中で追加工数が発生してしまい、結果としてシステムが高くなってしまうのである。

未来志向の要求

システム開発の途中で追加予算がかかってしまうのは、最初の要求定義や要件定義のときに想定される未来が見えていないことが原因である。これを見通すには要求定義や要件定義を行う背景や、未来の目指すところまでをエンジニア出身のアナリストに情報共有しなければならない。

投資の真価

導入時の金額だけをケチることは、保守運用などのランニングコストに跳ね返ってきてしまい、システムの寿命が短くなる。そうならないために、第三者のIT業者やITコンサルタントを入れるほうがよいと言われている。うまくDX化できれば生産性が上がり、投資を大きく回収できる。ことIT投資については、竹槍戦か空中戦かくらいの違いを生んでしまうのである。

まとめ

システム設計やプログラミング作業と同じようにITコンサルタントも1人の能力に偏りがちである。それゆえ、PMOと呼ばれるチームを形成することで、集合知を活用して、さらに未来を予測できるような体制を構築することが望ましい。

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DX現場の生成AIツール2025

DX推進とAIツール活用

2025年現在、DX推進において生成AIツールの活用は避けて通れないテーマとなっている。調査によれば国内ソフトウェア開発におけるAIコード生成の利用率は49%に達し、資料作成においても従来の60%以上の時間短縮が報告されている。しかし現場では「どのツールを選べばよいかわからない」「導入したものの活用が進まない」という声も多い。本記事では、デザイン・ドキュメント作成・コーディング・業務自動化の4分野において、DX担当者が即活用できる実践的なツールを具体的に紹介する。

デザイン・資料作成の効率化

デザイン・UI/UX分野では「Figma AI」と「Canva AI」が二大勢力として君臨している。Figma AIはプロトタイプ生成やレイヤー名の自動整理が可能で、Config2025で発表された「Figma Make」ではテキスト指示だけでコード生成まで実現する。Canvaは非デザイナー向けに画像編集・自動翻訳・音声生成を統合し、SNS投稿やプレゼン資料を短時間で仕上げられる点が強みである。資料作成分野では「Gamma」がテキスト入力のみでプロ級スライドを自動生成し、「Notion AI」は要約・文章生成・議事録作成をワンストップで対応する。Microsoft 365環境なら「Copilot」がWord・Excel・PowerPointと連携し、既存資産を活かした効率化が図れる。

コーディング支援AIの進化

コーディング・開発分野では「GitHub Copilot」が依然としてデファクトスタンダードの地位を維持している。VS CodeやJetBrains IDEとの深い統合によりコード補完・生成・テスト作成をシームレスに実行でき、NTTドコモやカカクコムなど大手企業での導入事例も増加中である。一方で2023年登場の「Cursor」はAIネイティブエディタとして進化を続け、2025年10月のバージョン2.0では専用モデル「Composer 1」とマルチエージェント実行機能を搭載した。プロジェクト全体を理解しながら複数ファイルを横断編集できる点が特徴である。さらにAnthropicの「Claude Code」はターミナル上で動作し、自然言語指示だけでコード生成からデバッグ・リファクタリングまで対応する。開発チームの規模や既存環境に応じた使い分けが重要となる。

業務自動化によるDX改革

業務自動化分野では「Microsoft Power Automate」がMicrosoft 365との統合度の高さで優位性を発揮している。2025年のアップデートではAIファーストの設計思想のもと、自然言語でフローを作成・編集できるCopilot機能が強化された。「Zapier」は7,000以上の外部サービスと連携可能で、異なるアプリ間のデータ転送を直感的なUIで自動化できる。エンタープライズ向けでは「UiPath」が世界的シェアを持ち、教育コンテンツとコミュニティが充実している点で社内人材育成にも適している。ただしツール導入においては、セキュリティポリシーの策定・情報漏洩対策・ライセンス管理が不可欠である。生成AIが業務データを扱う以上、社内ルールに沿った運用設計を先行させることが成功の分岐点となる。

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