相場の不在

開発の相場観

相場とは、一般的に市場で競争売買によって決まる商品の価格とされているが、ことシステム開発においては、相場というものが存在しない。

比較の難しさ

比較できる同じものであれば競争原理が働き相場が構築されるが、フルスクラッチされるシステム開発においては全く同じものができることはない。しかも、出来上がるものはパッケージシステムやSaaSの利用以外は、未来にしか完成しないので当然比較もできないものとなる。

将来要件判断

比較的ないからこそ、しっかりと吟味する必要があるが、吟味する材料や条件などは現時点で明確になるものが元となる。未来に発生する追加条件や変更される環境などはジャッジする時点にはすべて出そろわないという難しさがある。

変化への対応

システム開発は未来にどのような条件変更やルール変更が行われるかわからないものであるという認識を持つことが大切である。その上で最善のジャッジを行うべきである。その判断は過去を遡って正解か間違いかを評価すべきではない。

まとめ

日本では原点方式の人事評価が行われるため、イノベーションは起こりにくい本質的な問題がある。これを無視して「DXだ」といっている組織があるとすれば、それは本質を見誤っているといえる。

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中小企業のローコード活用法

ローコードの重要性

中小企業の経営者は、システム開発に数百万円かかると諦めがちである。しかし実際は、ローコード・ノーコードツールの進歩により、従来の1/10のコストと時間でビジネスアプリケーションを構築できる時代となった。大企業のような潤沢なIT予算がなくても、スピーディーで柔軟なシステム開発が可能になったのだ。むしろ、意思決定が早く、組織がフラットな中小企業の方が、ローコードの恩恵を最大限に活用できる環境が整っているといえるだろう。

コスト削減効果

ローコード導入により、中小企業は複数の大きなメリットを享受できる。まず開発コストの大幅削減である。従来のスクラッチ開発では500万円かかっていたシステムが、ローコードなら50万円程度で実現可能となる。次に開発期間の短縮効果も見逃せない。半年かかっていたプロジェクトが1〜2ヶ月で完成し、市場投入スピードが格段に向上する。さらに、専門的なプログラミング知識がなくても、現場の業務を理解している社員が直接システム構築に参加できるため、真にビジネスニーズに合致したアプリケーションが生まれるのである。

成功のポイント

実際にローコード導入で成功を収めた中小企業には共通する特徴がある。第一に、経営層がデジタル変革の重要性を理解し、積極的にサポートしていることだ。トップダウンでの推進により、組織全体の協力を得やすくなる。第二に、小さく始めて段階的に拡大するアプローチを取っていることである。いきなり基幹システムを刷新するのではなく、顧客管理や在庫管理など特定の業務から始めて成功体験を積み重ねている。第三に、社内のキーパーソンをローコード開発の推進役として育成し、継続的な改善サイクルを構築していることが挙げられる。これらの要素が揃うことで、導入効果が最大化されるのだ。

競争優位の実現

ローコードは単なるツールではない。中小企業が大企業と対等に競争できる武器であり、むしろ機動力を活かして大企業を上回る成果を生み出せる可能性を秘めている。従来のシステム開発では不可能だった「現場主導のデジタル化」が実現し、真の意味でのDX推進が可能となる。重要なのは、完璧を求めすぎずに、まず一歩を踏み出すことだ。小さな成功体験から始めて、徐々に範囲を拡大していけば、必ず大きな成果につながる。

まとめ

中小企業にとってローコードは、限られた予算と人材でも効果的なシステム開発を実現できる革新的なソリューションである。コスト削減、開発期間短縮、現場主導の改善という三つの大きなメリットを活用し、段階的なアプローチで導入を進めることが成功の鍵となる。デジタル変革は大企業だけの特権ではないのだ。

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DX伴走支援の成否 –丸投げと真の伴走の違い–

伴走支援の落とし穴

多くの企業がDX推進のために「伴走支援」を謳うコンサルティング会社に依頼するが、期待した成果が得られず終わるケースが後を絶たない。その原因の多くは、「伴走」という名目でありながら、実態は「丸投げ」になっているためだ。発注側も受注側も、伴走支援の本質を理解しないまま契約を結び、プロジェクトが進むにつれて認識のずれが明確になる。結果として、導入したシステムが活用されない、現場が混乱する、投資対効果が見えないという事態に陥る。

丸投げ支援の特徴

失敗する「丸投げ型支援」には明確な特徴がある。まず、コンサルタントが一方的に最新ツールやシステムを提案し、現場の業務フローや課題を十分にヒアリングしない。次に、導入後の運用は企業側に任せきりで、定期的なフォローアップがない。さらに、従業員への教育や研修が形式的で、実際の業務に即した内容になっていないのだ。このような支援では、高額なシステムを導入しても現場に定着せず、結局は以前の方法に戻ってしまう。経営層だけが満足して終わる「見せかけのDX」になってしまうのである。

真の伴走支援とは

では、真の「伴走支援」とは何か。第一に、企業の現状を深く理解することから始まる。業務フロー、従業員のスキルレベル、社内の文化まで把握したうえで、最適なDX戦略を設計する。第二に、導入プロセス全体に伴走者が関与し、現場の声を拾いながら柔軟に軌道修正する。システムを導入して終わりではなく、定着するまで継続的にサポートするのだ。第三に、従業員が自走できるよう、実践的な教育を提供する。マニュアルを渡すだけでなく、実際の業務シーンを想定したトレーニングを行い、疑問にその場で答える。つまり、企業と同じ目線で課題に向き合い、成果が出るまで責任を持つのが真の伴走支援である。

支援会社の選び方

伴走支援を選ぶ際は、いくつかの判断基準がある。まず、過去の実績と具体的な成果指標を確認すべきだ。単なる導入事例ではなく、導入後の定着率や業務効率の改善率などの数値データを提示できるかが重要である。次に、初回のヒアリングで、どれだけ深く現場の課題を掘り下げようとするかを見極める。表面的な質問だけで終わる会社は要注意だ。さらに、契約内容に導入後のサポート期間や具体的な支援内容が明記されているかを確認する必要がある。曖昧な表現ではなく、何を、いつまで、どのように支援するのかが明確であることが、真の伴走支援を提供する会社の証である。

まとめ

DX伴走支援の成否は、「丸投げ」か「真の伴走」かで決まる。表面的なシステム導入ではなく、現場に寄り添い、定着まで責任を持つパートナーを選ぶことが、DX成功への第一歩だ。明確な成果指標と継続的なサポート体制を持つ支援会社と組むことで、投資を確実に成果に変えることができる。

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内製化の成功術

IT報酬の実態

海外と比べて日本のITエンジニアの報酬が低いという記事をよく目にする。それもそのはずで、ハイクラスIT人材は都合のいい「何でも屋」にはならないからである。

導入時の誤解

ユーザー企業やシステムのユーザーは、IT化を行うことで業務が減るという先入観を持っていることがある。システム導入を着手したときの目的を忘れて、その時、その場の課題を優先して都合よくITエンジニアを動かしてしまう。また動くITエンジニアもそこにいたりする。

システムと医療

たとえば、「お腹が痛い」と病院にいって「すぐに切開しよう」とはならないはずだ。このようにシステムにもその他にも色々な条件が絡まり合っている。システムは取り扱う情報量や関連する業務が多く導入に時間がかかる。時間がかかる結果、最初の導入目的を忘れてしまうのである。

真のIT人材価値

ハイクラスIT人材はユーザー側の状況と心理を配慮しつつ、現場のプログラマーの状況と心理を考慮して陣頭指揮できる人材といってもよいだろう。心理というのは物の言い方だけではなく、無形の財産を構築したり業務にフィットさせたりするので、プロジェクトの円滑さが変わるのだ。

まとめ

小手先だけでシステムに関するプロジェクトを推進しようとすると、「言われた通りにやった」という受動的な参加者が増えてしまう。情シスのSIer化を回避するにはITエンジニアを「何でも屋」にさせて疲弊させないことも大切である。開発チームの雰囲気作りも非常に効果がある。

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