運用の昇華

開発現場の想定外

基幹システムの開発現場では、最初に想定した仕様とは異なる業務フローが後から発覚することが多い。

マネジメントの試金石

後から発覚した業務フローは、すでに構築が進んでいるシステムに組み込むことが難しいため、どのように対応するかがプロジェクトマネージャーの腕の見せ所である。

プロジェクトの舵取り

プロジェクトマネージャーとは何かと問われたときに、一言で言い表すならば、不測の事態にどのように対応できるか、ということではないかと考える。プロジェクトが何の問題もなく、完遂できることは少ない。したがって、イレギュラーケースが発生した時にどのような手立てを打てるか、迅速に行動できるかがプロジェクトマネージャーのレベルとなる。

パートナーシップの重要性

プロジェクトマネージャーがシステムの完成しか考えていなければ、途中から発覚した仕様は「運用でカバーせよ」とユーザー側に責任を押し付けてしまうことがある。しかし、より良いシステムを目指す、パートナーとしてであればこの回答は好ましくない。

まとめ

どのような事象がきっかけで、途中で使用漏れが発覚したのか、プロジェクトの進行状況を見ながら、ひも解くことが重要である。運用でカバーというユーザー側だけにだけ負担をさせるのではなく、運用をカバーするようなシステムを構築できるのが理想である。

関連記事

マクロからPower Appsへ

ゾンビファイル

今から十数年前に作られたExcelやAccessでのマクロプログラムが今もなお残り続けている。表計算ソフトと呼ばれるデータベースに似たツールを背景にユーザーインターフェースやロジックを付け足したものである。もはやゾンビファイルと言っても過言ではない。これらのシステムは当初の目的を果たしていても、時代の変化とともに保守性や拡張性に大きな課題を抱えるようになっている。

作成者不明問題

社内に残る通称「マクロ」は、今はいない人が作成していたり、一部の人が独自に作ったものであることが多くある。作った人がいる場合はまだしも、退職している場合はその中のプログラムも見ることができないので、いつ止まるか分からないシステムを業務の中心で使い続けていくことになる。このような状況では、エラーが発生した際の対処法が不明で、業務継続に深刻なリスクをもたらす可能性がある。

市民開発解決法

ブラックボックス化したマクロを情報システム部に解決をお願いするのではなく、市民開発にて解決するには多少のコツが必要になる。ポイントは完全にブラックボックス化している状態や、何から手を付けていいか分からない状態のマクロ群は、残念ながらまずは専門家に情報の整理を依頼することが必要になるだろう。自社だけでの解決を試みる前に、適切な専門知識を持つパートナーとの連携を検討することが成功への近道となる。

専門家活用法

専門家に依頼したほうがいい理由として、マクロファイルの解析だけを切り離した作業としてしまうと、その後の市民開発へ繋ぎにくくなるからである。マクロファイルのインプット/アウトプットを解析した上で、それをどのように今後の市民開発のベース作りに活かすのか。ITコンサルやシステム開発会社の腕の見せどころである。単純な解析作業ではなく、将来的な発展性を見据えた戦略的なアプローチが求められる領域といえるだろう。

まとめ

ExcelやAccessはMicrosoft社の製品であるので、そのままMicrosoft社が提供するPower PlatformやPower Appsへの移行がスマートである。間違ってもマクロをスクラッチ開発でのWebシステムに移管すべきではない。親和性の問題や閲覧性などに課題がのこることが多いようである。

続きを見る >

SEのいうバッファとは

バッファの真意

見積りや作業スケジュールに際して、エンジニアやシステム会社から「バッファである」という回答を受けたことはないか。システム会社が言うバッファとは保険を意味していることがほとんどである。

不確実なバッファ

非エンジニアは見積りのバッファを聞いたときに、無駄なのではないかと感じる。「念のため」に必要なバッファは、裏を返すと知識がないから調べないと分からないので不安であるという意味である。知識があり、「念のため」が必要なければバッファはないと考えられる。

知識の不足

ほとんどのシステム構築プロジェクトは、バッファが多いほうが知識がないのに見積りが高くなるという矛盾が発生することになる。そう考えると「バッファ」とは「無駄」に聞こえるかもしれない。

本質のバッファ

さて、このバッファについて本来あるべき姿を説明する。本当にやってみなければ分からないといった高度な技術を使うときに、未知の領域に関するスケジュールの影響を勘案し、計画された期間のことをバッファと見るべきである。

まとめ

単なるシステム構築プロジェクトにおいて「無駄を削ればよい」というのは非エンジニアから見ると合理的でコストの軽減にもなる。しかし、研究開発分野において無駄を削ることは必ずしも合理的ではない。発想が乏しくなるからである。

続きを見る >

ローコード開発≠安い

誤解されるコスト削減

実はローコード・ノーコードツールを使えば、開発が必要なくなるので安くなるというのは正しくない。たしかに、ノーコードツールを社内メンバーでCMSを使ってソフトを作るという場面は開発費用はかからない。

CMSとはコンテンツ・マネジメント・システムの略で、たとえばWebサイトのコンテンツを構成するテキストや画像、デザインなどを非エンジニアがプログラミングをせずに作成や管理できる仕組みのことである。ローコードツールはそれに加えて少しのプログラミング知識でシステムやツールを作成できることである。

開発手法の選択基準

断じてローコード開発だからといって安いわけではない。開発手法の特性による得手不得手を上手に使い分けるからトータルとして価格が安くなるということである。非エンジニア営業の金額調整という意味での判断でローコード開発を選択する場合は失敗することがある。

システム導入の本質理解

ローコード開発でも、システム導入の目的や条件が本質的にわかっていなければ、仕様要件のブレによって結果としてトータルが安くなることはない。これはローコード開発ということが問題なのではなく、フルスクラッチ開発であっても、SaaSと利用する場合であっても同じことが言える。

負債の危険

本来ローコード開発が適さない場合にも関わらず無理やりに合わせることで、プログラム部分の複雑性が増し、技術的負債となって大きな問題になっていく。結果として安くはならず、ローコード開発のメリットであるメンテナンス性までも損なうため、トータルで考えると高くなる。

まとめ

お客様の予算内で考えないといけないので、といった口癖があれば注意が必要である。クライアントの言いなり状態であれば、無理な要求は開発における仕様だけではないだろう。金額を含めた総合的な判断ができる人が、結果としてローコード開発を選択するわけである。

続きを見る >