効率化の誤解

目標設定の要諦

SESと呼ばれる派遣や準委任契約では、プロジェクトを完遂することが難しいとしている。これはゴールが未設定であったり、曖昧になってしまう場合が多くあるからである。ゴールの設定や未来像は非常に重要で、プロジェクトマネージャーなどリーダーが必ず持っておくべき指針である。

真のリーダー像

システム開発に参画するメンバーは一般的に経歴書やスキルシートによって決まる。プロジェクト経験数が多かったり、扱える言語が多かったりするだけでは、本当のスキルは推しはかれない。やはり、確認すべきは不測の事態が起きたときの対処方法を豊富に持つリーダーが必要となる。

アジャイルの本質

犬小屋を建てるときに設計書はいらないが、マンションを建てるには設計書がいる。アジャイル開発といっても、例えばマンションを設計図なしに建てるといったことを考えるとある程度は見通しや知見などを持つメンバーが方向性を決めていく必要がある。システム開発はその時その時の条件によっていい悪いの判断軸が変わる。さらに時間の経過でも判断軸が変化していくのである。

部分最適の罠

日本には「カイゼン」という高度経済成長期を支えた力強い言葉がある。しかし、時と状況によって判断軸が変わるソフトウェアという無形財産の前では、「善」に「改」めることができているのか、変化してしまう背景がある。職人気質である国民性も相まって、どうしても部分改善、部分最適を繰り返してしまうというプロジェクト現場が少なくない。

まとめ

システム運用や保守における部分最適は必ずしも全体最適になるわけではない。むしろ、この部分最適が全体を考えたときの労働生産性を下げていることすらある。小回りが利く人であればあるほど属人化してしまったりするため、誰が全体最適を見るのがベストなのか、改めて考える必要がある。

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デジタル化の誤解:効率化の落とし穴

デジタル化は効率化を保証しない

デジタル化と聞くと、多くの人が効率化を期待する。しかし、たとえばFAXで受け取った紙の受注をOCR(文字認識)でデジタルデータ化し、データベースに保存しても、それは単なるデジタル化に過ぎない。デジタル化を行うだけでは本質的な効率向上は望めず、業務フローの見直しがなければ効果は限定的だ。

非効率なフローをそのままデジタル化するリスク

最も大きな問題は、業務フローを見直さずにデジタル化を行うことだ。従来の手作業のフローをそのままデジタル化すれば、かえって作業が煩雑化し、時間がかかることもある。特にITに疎い権限者が意思決定を行う場合、このような失敗はよく見られる。「デジタル化=効率化」と誤解し、実際には逆効果となるケースも少なくない。

俯瞰できないシステム担当者の問題

システム担当者やシステム会社が、俯瞰的な視点を持たない場合も問題だ。業務フローを把握せず、指示通りにデジタル化を進めれば、非効率なシステムが出来上がる。ユーザー部門は「IT化で逆に効率が悪くなった」と感じ、最悪の場合、システムが欠陥品だと誤解されることもある。業務の流れを把握し、適切にデジタル化を進めることが必要だ。

生成AI導入の失敗例

生成AIの導入に関する相談も増えているが、その多くは「期待通りに動かない」という内容だ。その原因は、多くの場合、AIが本来必要ない箇所に導入されていることだ。たとえば、ただのデータ管理であれば、生成AIではなくRDB(リレーショナルデータベース)のほうが合理的だ。効率を上げるには、AIの利用が本当に適切かを見極める判断力が必要だ。

まとめ

「ITが分からないから任せる」という姿勢はリスクが高い。ITを知らない人がIT化を進めるのは、決算書を読めないのに経営をするのと同じだ。業務フローを理解し、技術を正しく活用するには横断的な視点と経験が不可欠だ。

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DX伴走支援の成否 –丸投げと真の伴走の違い–

伴走支援の落とし穴

多くの企業がDX推進のために「伴走支援」を謳うコンサルティング会社に依頼するが、期待した成果が得られず終わるケースが後を絶たない。その原因の多くは、「伴走」という名目でありながら、実態は「丸投げ」になっているためだ。発注側も受注側も、伴走支援の本質を理解しないまま契約を結び、プロジェクトが進むにつれて認識のずれが明確になる。結果として、導入したシステムが活用されない、現場が混乱する、投資対効果が見えないという事態に陥る。

丸投げ支援の特徴

失敗する「丸投げ型支援」には明確な特徴がある。まず、コンサルタントが一方的に最新ツールやシステムを提案し、現場の業務フローや課題を十分にヒアリングしない。次に、導入後の運用は企業側に任せきりで、定期的なフォローアップがない。さらに、従業員への教育や研修が形式的で、実際の業務に即した内容になっていないのだ。このような支援では、高額なシステムを導入しても現場に定着せず、結局は以前の方法に戻ってしまう。経営層だけが満足して終わる「見せかけのDX」になってしまうのである。

真の伴走支援とは

では、真の「伴走支援」とは何か。第一に、企業の現状を深く理解することから始まる。業務フロー、従業員のスキルレベル、社内の文化まで把握したうえで、最適なDX戦略を設計する。第二に、導入プロセス全体に伴走者が関与し、現場の声を拾いながら柔軟に軌道修正する。システムを導入して終わりではなく、定着するまで継続的にサポートするのだ。第三に、従業員が自走できるよう、実践的な教育を提供する。マニュアルを渡すだけでなく、実際の業務シーンを想定したトレーニングを行い、疑問にその場で答える。つまり、企業と同じ目線で課題に向き合い、成果が出るまで責任を持つのが真の伴走支援である。

支援会社の選び方

伴走支援を選ぶ際は、いくつかの判断基準がある。まず、過去の実績と具体的な成果指標を確認すべきだ。単なる導入事例ではなく、導入後の定着率や業務効率の改善率などの数値データを提示できるかが重要である。次に、初回のヒアリングで、どれだけ深く現場の課題を掘り下げようとするかを見極める。表面的な質問だけで終わる会社は要注意だ。さらに、契約内容に導入後のサポート期間や具体的な支援内容が明記されているかを確認する必要がある。曖昧な表現ではなく、何を、いつまで、どのように支援するのかが明確であることが、真の伴走支援を提供する会社の証である。

まとめ

DX伴走支援の成否は、「丸投げ」か「真の伴走」かで決まる。表面的なシステム導入ではなく、現場に寄り添い、定着まで責任を持つパートナーを選ぶことが、DX成功への第一歩だ。明確な成果指標と継続的なサポート体制を持つ支援会社と組むことで、投資を確実に成果に変えることができる。

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ローコード導入判断基準

ローコード導入の必要性

近年、企業のデジタル変革(DX)において、ローコードプラットフォームの活用が急速に広がっている。従来の開発手法では時間とコストがかかりすぎ、変化の激しいビジネス環境に対応できないという課題が深刻化しているためである。特に日本企業では、IT人材不足が深刻な問題となっており、限られたリソースで最大の成果を上げる必要がある。このような背景から、ローコード開発は単なる開発手法の一つではなく、企業存続のための戦略的選択肢として注目されているのである。

導入メリット

ローコード導入により得られる最大のメリットは、開発期間の大幅な短縮である。従来のプログラミングで数ヶ月かかっていたアプリケーション開発が、数週間で完了できる事例が数多く報告されている。また、専門的なプログラミング知識を持たない業務部門の担当者でも、簡単なアプリケーションを自ら構築できるため、IT部門の負担軽減にもつながる。さらに、クラウドベースのプラットフォームが多いため、インフラ構築コストも削減でき、総所有コスト(TCO)の観点からも非常に魅力的な選択肢となっている。これらの要素が組み合わさることで、企業の競争力強化に直結する効果が期待できる。

導入判断の観点

一方で、すべてのプロジェクトにローコードが適しているわけではない。導入判断には慎重な検討が必要である。まず、プロジェクトの複雑性を評価する必要がある。単純な業務アプリケーションや社内ツールには適しているが、高度なセキュリティが求められるシステムや、大量のデータ処理を行うシステムでは従来の開発手法が望ましい場合もある。また、既存システムとの連携要件や、将来的な拡張性も重要な判断要素となる。組織の技術的成熟度や、ガバナンス体制の整備状況も考慮すべきポイントである。これらの観点を総合的に評価することで、適切な導入判断が可能になる。

成功のアプローチ

ローコード導入を成功させるには、段階的なアプローチが重要である。まずは小規模なパイロットプロジェクトから始め、組織の学習とプラットフォームの理解を深めることを推奨する。同時に、適切なガバナンス体制の構築と、セキュリティポリシーの策定も不可欠である。また、従来の開発チームとローコード開発チームの連携体制を整備し、知識の共有と技術的サポートを確保することが成功の鍵となる。さらに、継続的な教育プログラムの実施により、組織全体の技術力向上を図ることで、長期的な成功を実現できる。これらの取り組みにより、DXの目標達成により近づくことができるだろう。

まとめ

DXプロジェクトにおけるローコード導入は、適切な判断基準と実践的なアプローチにより大きな成果をもたらす。開発スピード、コスト効率、技術者不足への対応という観点から、多くの企業にとって有効な選択肢となっている。成功の鍵は段階的導入と適切なガバナンス体制の構築にある。

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