QCDの死角

失敗の正体

システムの失敗は見えないことがある。ブラックボックスであるがゆえに隠せてしまうからである。失敗かどうかの線引きができないところがシステム構築プロジェクトの難しいところである。

エンジニアの真実

もしかしたら、エンジニアが都合の悪いことは隠していることがあるかもしれない。しかし、決めつけてしまうとエンジニアはへそを曲げてしまう可能性がある。隠しているつもりはなくても隠れていることもある。

成功の境界

失敗の線引きは、納期が遅れることであろうか。バグが多いということであろうか。実は、状況によって一概に言えないのである。QCDという言葉があるが、品質と費用と納期のバランスを上手にとったとしても成功か失敗か、すぐにはわからないのがシステムという無形物である。

コスパの本質

コスパという言葉があるが、かけるコストに対して、どれだけのパフォーマンスが出せるかが問題となる。システム開発では、コストからやりたいことを計算するのではなく、やりたいことを明確にしたうえで、コスト内でリッチ度合いを調節することが重要である。

まとめ

システム開発においては、失敗が見えにくいため、失敗しないように見えるのかもしれない。失敗しないことは、成功であるということでもない。時間が経つにつれて失敗を感じることもあり得るのである。

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ベトナムオフショア開発に向く3つのプロジェクトと、向かない3つのプロジェクト

ベトナムに向くプロジェクトの特徴

ベトナムへのソフトウェアのオフショア開発については昔から肯定的な意見と否定的な意見があります。昨今のベトナムの人件費の向上と日本の人件費の低下、そして円安もあり、コストダウン効果が見込めなくなってきています。しかし、単に海外オフショア開発が良いか悪いかという単純な問題ではなく、ベトナムの特徴を踏まえて、どのようなプロジェクトが向いているのか見極めることが重要です。本記事では、ベトナムにおけるオフショア開発に向く3つのプロジェクトと、向かない3つのプロジェクトを紹介します。

ベトナムに向くプロジェクト

1. 生産拠点や流通拠点を持つERPシステム開発

日本企業がベトナムに自社の生産拠点や流通拠点を持ちそのためのERPシステムを開発する場合、ベトナムは適した場所と言えます。ベトナム企業はベトナムの市場に精通しており、日本企業もベトナムの物流や製造現場に慣れています。また、ERPシステムの構築経験も蓄積されており、ベトナムのソフトウェア業界は成熟しています。さらに、ベトナム人の日本語通訳者の能力も向上しており、生産や流通に関わる日本語も習得しています。このような環境下でのERPシステム開発は、効率的かつ円滑に進めることができます。

2. ライトなWeb開発など経験を必要としない開発分野

技術の進化が激しいWeb開発など、比較的ライトで長年の経験を必要としない開発分野においても、ベトナムは適した場所と言えます。これらの分野では、若くて習得の早い技術者が求められます。ベトナムの技術者は熱意を持ち、新しい技術の習得に積極的です。また、技術自体も日本やベトナムといった特定の地域に依存せず、汎用性の高いものが多いため、ベトナムの技術者との協力により効果的な開発が行えます。

3. BPO的なプロジェクトでの教師モデル開発や画像タギングなど

ベトナムはAIにおける教師モデルの開発や画像のタギングなどのBPO的なプロジェクトにも適しています。ベトナムの基礎教育レベルは高く、労働者の字の読み書きやPCの使用能力に問題はありません。また、ベトナムはピラミッド型組織を構築しやすい文化的環境が整っているので大量生産に向いています。これらの要素を活かして、BPO的なプロジェクトをベトナムで展開することは効果的です。

ベトナムに向かないプロジェクト

1. コストダウンが目的のインクルーシブなプロジェクト

単純なコストダウンが目的のインクルーシブなプロジェクトは、ベトナムにとって戦略的な選択肢とは言えません。最初は若くて安いエンジニアを投入することで一時的なコストダウン効果を得るかもしれませんが、時間が経つにつれて人件費が上昇し、コストが増加してしまいます。また、ベトナムのエンジニアも自身のキャリアパスを考えるため、離職率が高く、人材の取り替えが困難になる場合もあります。

2. AIなど最先端技術のラボラトリーとしてのプロジェクト

ベトナムはAIなどの最先端技術のラボラトリーには向いていません。ベトナムは積極的な技術開発を行っていますが、他の国々も同様に積極的であり、特にアドバンテージがあるわけではありません。また、最先端技術になるほど人件費が高くなり、ベトナム価格でも他の国と競争することが難しい場合があります。このような背景から、ベトナムにおける最先端技術の開発には慎重な判断が求められます。

3. 最終消費者向けのセールスやマーケティングシステム

最終消費者向けのセールスやマーケティングシステムは、ベトナムとの文化や商習慣、法律、税制などの違いにより、開発が困難となる場合があります。ベトナム側で日本のマーケットに適したシステムを開発することは難しく、逆に日本側でもベトナム市場に合わせたシステムを構築することは容易ではありません。ただし、バックエンドのシステムに関しては国による違いは少ないため、ERPのようなバックエンドのシステム開発はベトナムでも適しています。

以上がベトナムにおけるオフショア開発に向くプロジェクトと向かないプロジェクトの一例です。プロジェクト選定においては、ベトナムの特徴や環境を的確に把握し、ベターな組み合わせを選ぶことが成功への重要な戦略となります。

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開発の相場

相場の不在

フルスクラッチでのシステム開発に相場はない。相場とは商品が一般的に流通している商品など数が多い場合は、競争原理も働き、金額がある一定の範囲に収まってくるものである。

建築との差異

たとえば、一戸建て建築であれば、建物の規模と資材、それに加えて職人の人工で金額が決まる。フルスクラッチのシステム開発は、つまり極めて特殊な特注品を作るようなものであるため、システム開発に相場という概念が基本的にはないのである。

人件費の実態

システム(ソフトウェア)は一戸建てのように、基本的には材料費はかからない。システム開発の費用のほとんどは人件費である。大工職人の人工と同じように人月単価と呼ばれるSE1人が1ヶ月働く金額で相場を知ることができるのである。

工期の変動

建物を建てることと比べるとシステムやソフトウェアは無形の物となるため、1ヶ月の労働力を推し量ることは困難である。個人のプログラミングの早さによって、納期が早くなったり遅くなったりするのである。

まとめ

SEは過去のプロジェクト参画実績から、同じようなプロジェクトに何度も参画していれば手練れでスキルが高いと評価される。システムに関わる人材の評価が困難な点は、プロジェクトに参画する経験値と、本当の意味でのスキルが比例するわけではないことである。本当の意味でのスキルとはプロジェクトを成功させられるかどうかを指すのである。

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思考と決断のPM力

PMの真価

スキルシート上にあるPMというのは、どういった開発言語や開発環境などを使ってきたかという内容であることが多く、SEの延長という意味合いが強く残っている。もし、期待するポジションが発想力や提案力にあるとすれば、姿勢をみることが大切となる。

従順の呪縛

就職氷河期と呼ばれる世代より上の年齢層では、常に従うことを幼少期から叩き込まれていると考えられる。日本では「禁止」か「許可」かを常に意識しながら仕事をしており、「許可されるまでは禁止されている」と考えているのではないかと推察される。

失敗からの成長

正しいか、間違っているか、の判断基準しか持ち合わせていない場合、何か問題が発生したときに時間を遡ってどこで判断を間違えたのかを追求する。それは大切なことであるが、実際のプロジェクトでは誤ったことを反省しつつ修正しながら進むことが大切である。

判断力の真髄

エンジニア出身のPM(開発プロジェクトのPM)だと、禁止か許可かというデジタルのような見方をしている人もいる。特に今日のシステムに関するプロジェクトでは、ゼロかイチだけでは判断できないような、ウエットでアナログな状況判断が必要となる。

まとめ

たとえ能力の高いPMだったとしても、仕事になると発想することや作ることの楽しみより、ミスによる懲罰を恐れたりするために、無難で当たり障りのない判断をしがちである。システムに関するプロジェクトがなかなか前へ進まない理由でもある。

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