システム開発の混迷

営業依存の弊害

業務システムがうまくいかないのはベンダーやSEの問題だけではない。SEを取り巻く環境もシステム開発には重要である。業務システム開発を依頼するベンダーであれば営業担当者が挟まる。日本の縦割り社会の中で営業担当者は非エンジニアである場合が多く、プロジェクトの成功が目的ではない場合がある。

役割の細分化

SEをプロジェクトマネージャーとしている場合も注意が必要である。日本ではシステムエンジニアは細分化されておらず、建築でいうと参加者の全員が職人という扱いであることが多い。システムに関わる人全員がSEとしてしまっている間違いである。

開発の本質

SEやベンダーのプロジェクトマネージャーはそれ自体がプロジェクトと考えていることも多く、ビジネスとしてのプロジェクトとして捉えることができていないことがある。本来はビジネスが中心にあって、その中に業務システムが位置するはずである。それが見えているか否かで、業務システム開発の成功の確率は変わるのである。

相互理解

逆に、システムのことはSEに任せているというような場合も注意が必要である。システムのプロジェクトを経験したことがある、というだけでは、システムに関連するプロジェクトを成功させるのは困難である可能性が高い。プログラミングの経験がなければ、SEやベンダーが持つ心境を察することができないからである。最も重要なことはシステム導入時のイメージである。

まとめ

欧米では当たり前のように、間接的に関与する売上や利益の向上を管掌する部門や役職があるが、日本では良くも悪くもロジカルであり、数字がなければ行動に移せない厳密なルールがある。

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日本の技術人材不足とオフショア開発

セクション1: 日本のソフトウェア開発人材不足の背景

日本のソフトウェア開発業界は50年以上の歴史を持ち、多くの経験豊富なエンジニアが存在します。しかし、現在の日本では開発人材の不足が深刻な問題となっています。この人材不足は、企業が即戦力となるエンジニアを安価で求めるという要望に由来しています。そのため、日本の人材不足はしばしば「即戦力を安く求める欲求」として揶揄されることもありますが、この言い方には一面の真実も含まれています。企業が効率的な開発を行うためには、即戦力のエンジニアが必要なのは当然のことです。

また、この人材不足の問題は、単に日本だけに限ったものではありません。他の海外でも同様の人材不足が起きています。したがって、オフショア開発を検討する際には、都合の良い人材を海外で見つけることができるという考え方は一部正解であり、一部誤解とも言えます。

セクション2: 日本とベトナムのエンジニアの特徴

日本のエンジニアは、特にWeb関連のエンジニアにおいては、1990年代からのキャリアを持つベテランが多く存在します。そのため、文字コードやバイナリ、組み込み技術など、古いOSや低レベルの知識を必要とする開発においては、日本の技術者は強みを持っています。一方、新しいフレームワークや概念の習得には、国民性よりも年齢が影響を与える傾向があります。そのため、ベトナムのエンジニアは若さを活かして新しい技術を素早く学ぶことが得意と言えます。

また、コンピューター業界においては、上流と下流、低レベルと高レベルといった言葉が中立的に使われますが、この意味において日本は低レベル開発に向いており、ベトナムは高レベル開発に向いていると言えます。そのため、バランスの取れたオフショア開発を行うためには、日本のエンジニアのジェネラリスト的な能力とベトナムのエンジニアのスペシャリスト的な能力を組み合わせることが重要です。

セクション3: 日本とベトナムの開発手法の違い

日本のソフトウェア開発では、納期を守るためにウォーターフォール型の開発手法が主流です。アジャイル開発が概念的には取り入れられつつありますが、完全にアジャイルな開発プロセスを採用しているケースはまだまれです。一方、ベトナムのソフトウェア開発は、日本の開発手法と大きく異なるわけではありません。基本的には納期を守るためのウォーターフォール型の手法が一般的ですが、OSSの影響を受けて開発手法が変化しつつあります。

日本の開発現場と比較して、ベトナムの開発手法の利点は、新しいフレームワークや技術の習得において素早い反応性を持つことです。ベトナムのエンジニアは若く、学習意欲が高いため、最新の技術に対する理解が早く、柔軟に対応できるという特徴があります。ただし、ベトナムの開発現場においては、アジャイル開発の完全な導入はまだ一般的ではないことに注意が必要です。

セクション4: 言語の壁以外の考慮すべきポイント

ベトナムのエンジニアを活用する際に言語の壁を乗り越えるためには、円滑なコミュニケーションを図ることが重要です。英語がビジネスコミュニケーションの共通語となっているため、日本の企業がベトナムのエンジニアとのコミュニケーションを円滑に行うためには、英語教育の強化や翻訳ツールの活用などが有効です。また、文化やコミュニケーションスタイルの違いも考慮すべきポイントです。異なる文化背景を持つエンジニア同士が協力する場合、相手の文化に対する理解や尊重が求められます。

セクション5: 成功へのカギはバランスと柔軟性

ベトナムでのソフトウェア開発のオフショアを成功させるためには、日本とベトナムのエンジニアの特長を組み合わせることが重要です。日本のエンジニアはジェネラリストとして幅広い知識と経験を持っており、プロジェクト全体の管理や技術的な統括を担当することが得意です。一方、ベトナムのエンジニアはスペシャリストとして特定の技術に精通しており、新しい技術の習得にも素早く対応できます。

オフショア開発においては、開発現場のバランスと柔軟性が求められます。例えば、日本のエンジニアがジェネラリストとしてプロジェクトを牽引し、ベトナムのエンジニアがスペシャリストとして特定の技術領域を担当する役割分担が効果的です。また、現代的な開発手法を用いることも重要です。ウォーターフォール型の手法に加えてアジャイル開発の一部を取り入れるなど、柔軟に適切な手法を選択することが目的達成(コストダウン実現)へのカギとなります。

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開発の遅延「技術的にはできます」の罠

素人仕様と開発遅延

なぜ、システム開発の進捗が悪いのか?
それは、ずばり素人が考えた仕様を開発者に伝えてしまうからである。
すべての原因ではないが、もしシステムのユーザー側の現場担当者や営業担当者がシステム仕様を決めている場合は、ほとんどの場合で満足のいくスピード感はだせていない。

潜む技術的負債

システム仕様さえ伝えていれば、きちんと動くものを作ってくれるので、あとはスピードを上げるだけ。と考えているようであれば、技術的負債が溜まっていることに気付けていない。非エンジニアが決して理解できない技術的負債の怖さは、開発スピードが遅いということだけではない。開発者側から見てシステムが複雑になっていて、メンテナンス性も低い状態になっている。

「できます」の罠

非エンジニアには技術的負債は見えないし説明もわからないことと思う。しかし、技術力でカバーしてくれているから、きちんと動いているのだと思っているなら、それは実は技術力ではない。
「技術的にはできます」このような言葉を聞いたことはないか?
システムエンジニアは「できない」と言えない。「できないことはない」ということが価値なので、素人が考えたシステム仕様でも、言われた通りに作ってしまう。

持続可能な開発へ

システムエンジニアから「技術的にはできます」を聞いたときは、いったん立ち止まるべきである。
エンジニアには、様々な影響範囲や未来のメンテナンス性への懸念などが見えている。これを必要以上のコストだと考えるのか、必要コストと考えるのかで、技術的負債は変わる。

まとめ

自分の理解の範囲でしか人間は発想しないので、システムのことを知らない非エンジニアは、システム仕様を考えるべきではないと言える。また逆に、システムにおいてはシステムエンジニアの方が発想の幅は広いが、業務に関する知識は乏しい。
システムをよく知り業務のこともわかるシステムエンジニアがシステム仕様を考えるべきだが、そんな万能な人は多くはない。だから、その間を取り持つ人間が重要なのである。

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モックアップの料金

要件定義の意義

ユーザーの要件を明確にすることで、開発の方向性がブレず、無駄な修正や手戻りを防ぐことができる。定期的なミーティングやレビューセッションを通じて、開発者はユーザーのニーズを正確に把握し、ドキュメント化やモックアップ化することが重要である。

試作品の価値

SEはユーザーに具体的なイメージを持ってもらうために、プロトタイプやモックアップを作成し、ユーザーに確認してもらうことで、誤解や認識のズレを減らす。これにより、実装後の大幅な変更を回避できる。

モックアップの功罪

モックアップの作成は有料であることが多いようである。また、非エンジニアがシステム技術を意識しないモックアップであれば、その後の開発が複雑になってしまうといったことも考えられる。

ユーザー主導開発

モックアップを用いてユーザーがシステムの機能や開発プロセスについて理解を深めることで、適切なフィードバックを提供することが大切である。開発チームとのコミュニケーションも円滑になり、無駄な手戻りや修正を減少する。

まとめ

システム開発におけるユーザーと開発チームのコミュニケーション改善が、システム開発コストを軽減する。そのためには視覚的にコミュニケーションできるモックアップは重要であろう。

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